核ごみに関する自治体説明会とシンポジウムの覚書

2017年 北海道における核ごみ関連の催しを振り返って

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全国シンポジウム「いま改めて考えよう地層処分」札幌会場
~科学的特性マップの提示に向けて~」
開催概要
1.日 時:2017 年 5 月 27 日(土)13:30~16:25
2.場 所:ロイトン札幌 2 階 リージェントホール
3.主 催:経済産業省資源エネルギー庁原子力発電環境整備機構(NUMO)
4.後 援:文部科学省日本経済団体連合会日本商工会議所経済同友会全国商工会連合会
日本原子力学会、国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構電気事業連合会
北海道電力株式会社
5.参加者:175 名

http://www.numo.or.jp/chisou-sympo/2017/doc/report_sapporo.pdf

概要(札幌)

ww.numo.or.jp/chisou-sympo/2017/report.html#place4
開催挨拶・地層処分の説明・パネルディスカッション・質疑応答・閉会挨拶

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http://www.numo.or.jp/chisou-sympo/2017/doc/pdf_2017_sapporo0001f.pdf

高レベル放射性廃棄物処分に関する
人びとの意識
パブリック・アウトリーチ 木 村 浩 氏の資料

札幌会場ではこの資料に対する反感を露骨に示す発言があった。

www.numo.or.jp

本年は5月と9月に自治体説明会が行われ、その前後に
一般向けの説明会としてシンポジウムとセミナー形式の
核ごみに関する催しが北海道(札幌)で開催された。
自治体説明会に出席した釧路市の報告と確認

becquerelfree.hatenadiary.jp

また、11月26日には、十勝清水町で「でんきのゴミは他人事ですか」が開催された。

becquerelfree.hatenadiary.jp

 

北海道には「高レベル放射性廃棄物を受け入れがたい」とする条例があるが、

7月28日に公開された科学的特性マップについては、最終処分地を決定するものではなく、あくまでも論議や理解を進めるためのものと経産省はアナウンスしている。
水を嫌う核ごみの深地層処分に対し、提示されたマップを「科学的」と謳いながらも、その根拠として「地震津波、地下水の動き、土地の隆起など」について配慮しておらず、マップは200万分の一のものであって高い精度とはいえないとも自己評価しているため、清水町の説明会では「科学的とは言えないのではないか?」との指摘を経産省が認める場面さえあった。

 

現在、NUMOはHPで全国意見交換会の予定などを示しているが、「科学的特性マップに関する意見交換会」の参加者募集に関する調査結果及び再発防止等に向けた提言の受領について(学生参加動員費支給再発防止に関するリポート)を公開している。

 

www.numo.or.jp

いずれの事情も、国民理解を求める以前に、核ごみ深地層処分が最善であるかどうか
充分に議論が尽くされていないために、最終処分地選定が難航しているという現状を示しているため、無理に「ご理解活動」だけを進めていることが、かえって問題を作り続けていることに起因しているといえるのではないか?

 

NUMOは現在、HPで
「日本における高レベル放射性廃棄物の最終処分の方法については、原子力委員会において1962年に処分方針の検討が開始される等、原子力発電が始まる前から取り組んでおり、現在の処分概念である地層処分については、1976年に原子力委員会が示した方針に従って研究開発が進められてきました。 1999年に核燃料サイクル開発機構(現在の日本原子力研究開発機構)から、報告書「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分 研究開発第2次取りまとめ-」が公表され、日本においても地層処分を事業化の段階に進めるための信頼性ある技術基盤が整備されたことが示されました。その翌年の2000年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が国会で成立し、高レベル放射性廃棄物の最終処分は地層処分によることが法律で定められました。」と説明している。

しかし、一方で、原子力発電で出された使用済燃料のすべてを処理し、高レベル放射性廃棄物の総てを深地層処分すると決定されている訳ではなく、高レベル放射性廃液や雑庫体、そのほかに区分された多量の放射性廃棄物の処分や管理については、いまだに「事業者が責任もって処分、管理する」とだけぼんやりと示されているだけであることが、一層、国民の理解を難しくしている。

 

心配されるのは、地層処分に相応しい場所を探すとして巨額に支払われる自治体への「おうかがい」に伴う支払金(助成・補助金)が、全国にばら撒かれ、地層処分に至る前に、積み立ててきた最終処分に係る資金が足りなくなることが今からすでに見通せることだ。再処理事業費を回収するために新たに作られた「再処理等拠出金法」と、これに伴って発起した「使用済燃料再処理機構」の例から推察出来るように、最終処分nついても費用回収のために新たに機構が出来るのではないか? 最終処分法の一部改正が予定されているのではないか?ということ。

また、JEAEがすでにNHKなどにリークしている情報などで、「直接処分(ワンスルー方式)の実現化は技術的には可能」としていることから、深地層処分と比較した場合、費用がどれだけ違うのか? あるいは費用が違わない場合は、どの段階で費用が抜かれる可能性があるのかが気になるところだ。

(2017年 北海道における核ごみの話題をメモする)

以上